前世は猫のひとりごと

気の向くまま

ストとレス

まず、

目の前を通過する蚊を摘むイメージをする。

 

ブーー〜ーん………ぎゅむ

 

摘んだ手をそのままこめかみに添え、目を瞑る。

ぐい

……

あー、目が疲れてんなぁ、と。

これ、日課です。

いかにもジジくさい。

もちろん原因はある。

 

最近車校に通っているのだが、これがかなりキツイのだ。

元から複数の事を同時に考えられないタチだ。

やれウィンカーだのやれ巻き込み確認だの、

 

私としては頭パンク寸前である。

 

毎秒必死。これマジ。

そんなだから、講習が終わる頃には目も口もカラカラなのだ。

ただ、先生は良い人だし、段々慣れてきてはいるから、私としてはそこまでストレスではないのだが。

 

 

身体はそうもいかないようで。

 

 

どうやらストレスというのは、意識の水面下で進行するものらしいのだ。

人体の面白ポイントだ。

 

身体とは、神経という道路で構成されたサーキット。

ストレスはその地下水路を行く下水、ということだろう。

 

我々の気付かぬうちに、身体の隅々、節々に浸透する。

全く、厄介なものである。

 

 

ということで、これに抗おうと思う。

いや、人間の構造上、抗えるものでは無いのだが。

人間を辞める勢いで行けば大丈夫だ。

 

………大丈夫だ。

 

まず、水面下の存在というのが厄介ポイント。

 

これを何とかしたいわけだが。

水面下、つまり無意識。無の意識。

であれば、無意識にストレスを感じない身体になる必要がある。

 

そこでこんなのはどうだろう、

ストレスを感じそうになったら

 

「ありがとうございます!!!!」

 

と心の中で叫ぶ作戦。

どんな言葉も肯定的に捉える、これを刷り込む。

ちょっとやってみる。

 

 

「おい!このレポート出せって言ったよな!?お前本当にできねーやつだな!」

「……」

「おい、なんか言えや!!!」

 

 

「ありがとうございます!!」

 

 

決まった。

 

これ良くないか?

良いよね、ええ。

これを毎日続けたら、

無意識のうちのストレスも、全て跳ね返す強靭な精神が完成するとは思わないか?

思うよね、ええ。

だって、どんな罵詈雑言でも喜べちまうんだから。

 

「おい、この仕事やってくれよ、な」

「ありがとうございます!」

 

「あなたとはもうおしまい。別れましょ」

「ありがとうございます!」

 

「お前ら金を出せ!俺は強盗だ!金を出せ!」

「ありがとうございます!」

 

「いざ尋常に、勝負。ここで死ねい!」

「ありがとうございます!」

 

 

あー、いいね。

いいね。

……本当にいいか?

良くないな?

これただ変人よもう。

こんなやついたら即通報だ。

 

 

ところで最近、大学の友達が私のブログを見てくれたらしい。

で、こんなこと言ってきたわけだ。

「お前のブログ見たけど、本当につまんねぇな。つまんなすぎて吐いたわ」

 

私はいつも通り、即座に笑みを浮かべこう言った。

「ありがとうございます!」